関中道情
関中道情とは、陝西省の皮影戯の劇種であり、別名は長安道情、また拉波戲とも言う。関中の農村地区で行われている民間戯「坐班戯」であり、長安、藍田、戸県、咸陽、興平などの地区に盛行し、長安の劇は最も正統である。
関中道情は僧侶が托鉢に出て人の施しを求める時に歌う「道中情理」から発展してきた。東路調と西路調に分かれ、東路調は黄河河岸で見られ、西路調は陝北と内モンゴルなどの地区に流布している。地域的な差異により、「北方道情」「商洛道情」「安康道情」「西凉調」などの分岐ができた。清朝乾隆年間、西安と関中地区に西安灞[シ覇]橋道情班、引鎮道情班、子午道情班、三橋道情班、宝鶏陽平鎮姜馬道道情班などたくさんの道情劇団が出現した。
芸術の特徴からみると、「関中道情」が最も際立っている点は幇腔という節回しを採用したことで、四句幇腔があり、長腔と短腔に分かれる。「九腔十八調」という節回しがあることが伝えられるが、現在は「八腔十一調」だけ伝わっている。「八腔」には「清江引」「金線吊葫芦」「藕断絲不断」「節節高」「打連廂」「高腔」「推句子」「皀羅袍」があり、「十一調」には「大紅袍」「苦相思」「蛤蟆跳門檻」「哀連子」「剪花」「拖音」「笑板」「塌句子」「気頭子」「怒板」「落頭子」がある。道情の楽器は板胡、二胡、笛子などの文場と板、鼓、漁鼓、簡板、三才板、大鑼、牙子、碰種などの武場に分かれ、唱板には慢板、二六板、飛板、串板、滾白が含まれている。そのうち、慢板、二六板、飛板、串板が陽坡(歓音)と陰坡(苦音)に分かれている。曲目には「皀羅袍」「耍孩儿」「山坡羊」などがある。
いままでに保存されてきた関中道情の演目は200冊ぐらいあり、「目蓮救母」「大孝伝」「売道袍」「哭五更」などの道教物語の題材、「五史原」「古城会」「天仙配」「敬徳打朝」「芦花記」など歴史、神話、民間物語の題材ある。
1959年、陝西省戯曲学校に道情科が設立され、道情の普及・発展が進み、「剪紅灯」「山花姑娘」「墻上記帳」「嫁妝鎌刀」「木匠迎親」「紅梅嶺」などの新しい演目が生み出された。1987年、陝西省戯曲研究院青年団が北京で「隔門賢」を上演し、好評を博した。2005年、「隔門賢」がCCTV春節戯曲晩会の地方劇薈萃番組で放送された。